悪意

著:東野 圭吾 発行元(出版): 講談社
≪あらすじ≫
人気作家が仕事場で絞殺された。第一発見者はその妻と昔からの友人。逮捕された犯人が決して語らない動機にはたして「悪意」は存在するのか。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
東野圭吾さんが
正直、多くは語れない作品。それは悪い意味ではなく、むしろその逆であまりに良すぎて、そして最後の真実が明かされるシーンでの衝撃が良すぎて、非の打ちどころがないから。
犯人と加賀刑事の両方の手記方式で進められる形がまず斬新。そして、そこにこそ隠されたトリックがあったことに驚愕。素直にその手法に驚きと、そして賞賛を。これは面白い。
読んでいる途中は手記方式なのでサクサクと読めるのだが、読了後の驚きとどんでん返しというのは本当に凄い。
逮捕されることが前提だった犯人。しかも、その逮捕されることすら自らの犯行動機に利用したそのトリック。そしてそのアイディアを見事に具現化して文章とし書籍化した技術。
東野圭吾さんの作品は幾つか手に取らせていただいたが、今まで読んだ中では間違いなく最高傑作だと思う。
評価は、★★★★★(5点 / 5点)。文句なしに最高傑作。ミステリーが好きなら読むべき一冊だと思う。
NoTitle
先日は、お祝いコメント、ありがとうございました。
記事の中で、2001年に発表、とありますが、2001年はあくまでも文庫版が発売になった年で、単行本での発売は1996年です。
で、この『悪意』ですが、私も東野圭吾作品の中ではベスト作品だと思っています(『容疑者Xの献身』『新参者』『白夜行』あたりもひけを取らないと思いますが)
勿論、ひっくり返しの魅力もあるのですが、文章というものが持つ読者に対するイメージの波及効果。そして、それが先入観へと繋がっていく可能性……。さらに言えば、人間の「悪意」の根源のやりきれなさ。そういうものが全て詰まっていると思います。