花物語『するがデビル』 感想
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[〈物語〉シリーズ セカンドシーズン]
≪あらすじ≫
3年生に進級した神原駿河は忍野扇から、「願いを叶えてくれる悪魔様」の噂を聞かされる。。悪魔様の正体を知るべく、会いに向かった駿河の前に現れたのは―――。
(公式HP するがデビル 其ノ壹より抜粋)
朝起きると、駿河の左腕は猿の手から人間の腕に戻っていた。困惑しながらも、喜びを感じている駿河の前に、詐欺師・貝木泥舟が現れる。
(公式HP するがデビル 其ノ貮より抜粋)
貝木からの情報で、再び沼地と会うことを決意した駿河。しかし、逆に蠟花の方が駿河の前に再び現れる。その時、彼女の左腕はかつての駿河のように包帯に巻かれていた。
(公式HP するがデビル 其ノ參より抜粋)
不幸の蒐集家となった経緯を話す蠟花。さらに彼女は『悪魔』の蒐集を始めた経緯も駿河に語り始める。話が終わり別れる二人だが、その後、火憐から駿河に蠟花の新たな情報がもたらされ……。
(公式HP するがデビル 其ノ肆より抜粋)
体育館で相見える駿河と蠟花。『不幸の蒐集』と『悪魔の蒐集』を止めるべく、ある条件のもと駿河は蠟花にバスケットボールの試合を挑む。
(公式HP するがデビル 其ノ伍より抜粋)
≪感想≫
花物語の一挙放送。原作未読。でも、今度西尾維新さん新シリーズ立ち上げるんですね。そっちは手に取ってみるのも面白いかもしれない。
物語シリーズ、私からすると毎週見る分には毎週似たような演出や描写ばかりでおまけにそれらが濃すぎるので、ちょっと敬遠してしまう物語シリーズだが、一気に見る分にはそこはあまり気にならないのかもしれない。まぁ、たぶん私だけかな(苦笑 『物語』シリーズはたまに、一挙放送で、2時間くらいで、さっくりと見るのが一番精神的に「楽」なのかもしれない。
もっといえば、「粗探し」なんてみっともないことをしないで済む見方、なのかもね。そういう意味では、西尾維新さん、シャフト、物語シリーズという十分過ぎるブランド力は、こういう特番、あるいは劇場アニメを見させる時にこそ有効なのかもしれない。これが週一のアニメだと似通った演出や濃いやり方で毎週見ている内に飽きれば見るのを止めてしまう、しかし大した魅力がない原作者さんや制作会社やシリーズ作品だとそもそも見ようとすら思わない。そういう意味でね。
さて、本編は三年に進級した神原駿河が、暦やひたぎのいない学校で遭遇する怪異。いや、中盤までは怪異ではなく、ある意味ただの問題だったのかもしれないが、まぁ怪異だろうがそうでなかろうが問題が起きた、ということが重要なのだろう。
テーマはハッキリしている、のかな? 私は、テーマはそのまんま人間の多面性だと思っている。
沼地が言ったように、この世に絶対の正義もなければ絶対の悪なんてものもありはしない。どんな正義だろうと救えないものはある。正義のヒーローが、悪人を倒して多くの人の救ったとしても、その正義のヒーローは自分が倒した悪人は救えない。悪人に暴力を振るって傷つけている。それが「絶対の正義」なんてものだろうか。正義のヒーローは、正義のヒーローが味方した人しか救えないのだ。
正義や悪なんてものは、その人の立場や見る角度で価値が変わっていくものということなのだろう。そしてそれは貝木が口にしたように人も同じこと。
誰から見ても同じ人なんてのはいない。当たり前だと思う。人間誰だってそうだ。仮面をかぶっている、ともとることも出来るが要するに人間は無数の顔を持ち合わせているっていう方が正しいのだろう。
親に見せる顔と友人に見せる顔と恋人に見せる顔と上司に見せる顔と赤の他人に見せる顔とがすべて同じで、さらに性格も態度も全部同じ人なんているのだろうか? ……まぁ、世界中探せばもしかしたらいるかもしれないね(笑 でも、そんなレベルで稀有な人ってことだろう。
じゃあ誰かに見せている顔のたった一つが「本物」で、残りの顔は全部「偽物」なのか。いや、それは違うだろう。誰に見せている顔も「本物」と呼ぶには自分自身という意味ではきっと何かが欠けていて(すべての中の一部にすぎなくて)、そして誰に見せている顔も「偽物」と呼ぶには自分の一部であることに間違いなさすぎるということだ。
自分の全てを網羅していないからその顔やその顔を見せているときは「本物」ではないのか、自分の一部を含んているからその顔やその顔を見せているときは「本物」と呼べるのか。
まぁ、そこはきっと人によっていろいろな考え方があるのだろうけれど、少なくともこの『するがデビル』においては著者である西尾維新さんは後者(人はいろいろな顔を持ち、どの顔も本物)である、というのを私なりに感じ取ったし、こうして感想で長ったらしく書いているくらいにはその考え方に賛同しているつもりである。
貝木がフツーに良い人そうに見える。それがきっと、この花物語のテーマをもっとも如実に示している気がするのだ。
あとは駿河がそうだったように、「どの自分が自分らしいのか」というところなんだろう。そこは選び方は暦が指摘したように十人十色だと思うが「誰に見せている顔が一番自分らしいのか」っていう判断は、駿河が母親や貝木、沼地、そして暦といった「他者から観た自分」を知覚して辿り着いたように、もしかしたら自分独りでは分からないってことなのかもね。
テーマの部分以外にも、西尾節というからしいセリフ回しのシーンは多かったと思う。「しないで後悔するよりして後悔した方が良いなんていうのは、やってしまった後悔を知らない第三者のいい加減な言葉に過ぎない」とかね。その辺の「後悔」のくだりは、駿河が受けた母親の言葉とある意味で対比していて、それに振り回されている神原駿河というキャラクターが出てきている部分だったのかもしれない。
さて、その神原駿河がメイン。髪を長く伸ばしていて、その髪型どーなのよと思っていたが、ポニーテールにすると途端可愛いな、おいw いや、単に私がポニテフェチなだけなのか?
相変わらず裸体やサービスカットを地味にねじ込んでくる作品でもあるのだけど、その対象がひたぎや翼や、あるいはファイヤーシスターズに比べると「健康美」って感じがするから駿河って好きなキャラ。最後の方で暦が「興奮しない」といった理由も、駿河の裸にはそんな性欲を超えた健康的というか、健全的な「美」があるんじゃないかな。私もぶっちゃけ興奮しない、それならむしろスパッツ姿の方が(マテコラ
卒業してしまって暦は出てこないと思ったが中盤から出て来た。髪の毛はまるで売れないミュージシャンみたいに伸びてて目も片目は完全に隠れてたね。でもやり取りがあんまり変わってない? ちょっとだけ暦の方はもしかしたら大人になったのかもしれないね。
そして忍も出て来たw 出て来たっていうか一瞬のカットがあるだけだけど、相変わらず永遠の幼女なんだな(違
そういえば駿河の口からも暦の口からも火憐のことは聞くし彼女は出番あったけど、月火ちゃんはほとんど出てこないね。最後暦の口から名前が出て来たくらいか。この一年でファイヤーシスターズにもそれなりに何かあったってことか。まぁ、もうアニメ化してはいるけど私が観てないだけなのかもしれないが。
とりあえず最速の感想としてはこんなところ、かな。五話構成で二時間。普通ならひと月強かけて観るものだったわけだけど、やっぱり最初に書いたように一度に全部観て良かったと思った。どういった判断でスタッフが二時間一挙放送という道を選んだのかは分からないが、少なくとも作品の面白さという意味では間違っていなかったと思う。
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今回の「花物語」は、当初「ニセコイ」終了後の5~6月に5週連続で放送する予定でした。
しかし、どうやら製作が間に合わなかったらしく、予定が飛んでしまったらしいです。
シャフトとしては久々らしい事のようですが。(苦笑)
で、改めて放送枠を調整したところ、今回の一挙放送のスペシャル枠に落ち着いたという話のようです。
とどのつまり、放送できただけでもよかったという事でしょうか。
ちなみに、元々の放送枠は、物語シリーズの傑作選を、円盤の特典であるキャラクターコメンタリーで放送するという“荒業”でフォローしていました。