[再]新機動戦記ガンダムW 第14話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]
『01(ゼロワン)爆破指令』
≪あらすじ≫
各国の王侯貴族が集まるロームフェラ財団の会合が執り行われていた。その会合にリリーナは、ノインに引き連れられ平和主義ピースクラフト王家代表として出席をする。そこでリリーナは、財団の戦争を賞賛する考え方に対し、反感を感じずにはいられなかった。
そのころ、ゼクスは内密で回収していたウイングガンダムの修理にあたっていた。しかし、情報はトレーズの知るところとなり、財団から爆破命令が下される。結果、レイク・ビクトリア基地にてウイングガンダム爆破が行われることになった。だが、それはトールギスのパーツで巧妙なダミーを作っての芝居に過ぎなかった。
同じころヒイロは、トロワと行動をともにしていた。穏健派のノベン元帥を殺害してしまった贖罪のため、元帥の身内に裁きを仰ぐため、マルセイユにいる孫娘のシルビア・ノベンタの元を訪れた。その町では、OZが旧連合を一掃するため基地の攻撃を開始していた。
戦火に包まれた町でヒイロはシルビアを救出。そして自らの罪を暴露し、彼女に銃を渡して裁きを受けようとするが、ヒイロの身を弾丸が貫くことはなかった。
(公式HP TVSeries Story 第14話より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
罪と罰、トレーズも口にしていたがまさにそんな内容となった1話だった。
シルビア・ノベンタが指摘したようにヒイロのやり方は卑怯とも言える。あんな風に言われて殺せるかと言えばそれは難しいのだろう(まぁ、私には人為的に殺害された身内や親しい人がいた経験がないので、もしそういう経験をされた遺族からすれば「自分がその後どんな罰を受けようと、死後地獄に落ちようと、この手で殺せるなら殺したい」という人もきっといるにはいると思うから、必ずしも卑怯とも限らないのだろうが)。
だが、しかしそれならばヒイロはどうすれば彼の「罪」に対して「罰」が下ると言うのか。公の場に現れて「自分がガンダムのパイロットだ」と言えば良かったのか。しかしながら、ヒイロはすでにトロワが以前口にしたようにOZからすれば自爆で死んだことになっている人間だ。また、彼自身が公の場に出ることは、同時のコロニーへのリスクが高まってしまう側面もある。
そういったものをいろいろと考えるとヒイロにそれは出来なかった、とも考えられる。そうした中で彼が選べたのは、遺族一人ひとりに自らの生死の判断をゆだねる、というものだったというのは、トロワが言うように徹底している。最も加害者を憎むであろう孫娘や配偶者から審判を始めるのだからね。
ならば、それはなぜ今だったのか? とも思う。
ヒイロはノベンタ元帥を始め和平派をシャトルで一掃し殺害してからも任務を続けてきたではないか。罪と罰と言うのであれば、ヒイロは殺してしまった直後からこの「審判の旅」を始めなくてはいけなかった。
でも、それは出来なかったのだ。
なぜならヒイロはその頃まだ「マシーン」だったから。Dr.Jの任務を遂行する戦闘機械と言う名のエージェントであり、ウイングガンダムのパイロットと言う名の生体パーツだった。それゆえに彼には「自分の感情で行動する」ことが許されていなかった。彼の優先順位の第一位は「命令」であり、最下位が「己の感情」のままだったのだ。
だが、ヒイロがウイングガンダムと自爆したことで、彼はウイングガンダムのパイロットの生体パーツとしての役目を終えた(実際には修復されているのだが、それはヒイロの知ったことではない)。また、トロワもそうであるようにガンダムを開発した五人の技師たちレジスタンスからの指令もヒイロの自爆によってなくなった。つまるところ、彼はエージェントとしても現状ではお役御免となったのだ。
言ってみれば無職。でも、無職だからこそヒイロは「感情のままに」行動することを選び、その感情はずっと抱き続けてきたノベンタ元帥を始めとした和平派を一掃した自分が今後も生き続け戦い続けることが赦されるか否かを問う「審判の旅」だったわけだ。
メタな見方をすれば、実はヒイロが1クールも経たないうちに自爆したことは、ヒイロ・ユイというキャラクターから考えると大き過ぎる意味があったというわけだ。彼は自爆することでその任を解かれたと捉えるなら、今の彼は戦闘マシーンではなく一個人の人間として行動出来ている。それは、彼から戦う手段であったガンダムを奪い、戦うための命令を与えていた司令官を奪わなければ出来なかったことで、裏を返せばそこまで徹底してヒイロから全てを奪わなければヒイロ・ユイというキャラクターを一人の人間として物語の中で動かすことが出来ないほどヒイロはエージェントとしての精神状態が完璧だった、ということの表れでもある。
一方で、トロワもまたガンダムのパイロットとして動き続けている。連合とOZの争いに干渉する気はない、としながらも、「ガンダムだけは(見られるわけにはいかない)」というのはガンダムが発見されれば再びコロニーに危険が及ぶと彼が考えているからに違いないだろう。
この無口コンビ、五飛とは違う意味で波長が良く似ていて醸し出す空気感が好きなので個人的には好きなペア。劇中でも実はこの二人は「コンビ」としてヒイロとデュオ並みに優遇されていて、ヒイロとトロワはこの後、ヴァイエイトとメリクリウスでコンビを組んで戦う唯一のペアである。
劇中で明確なコンビを組んで戦うのは、おそらくヒイロとトロワくらいだろう。月面基地脱出の際にはデュオと五飛が同時に戦うものの、それはオペレーション・デイブレイクなどと同じで「同時に戦っている」だけで「コンビ(チーム)として戦っている」わけではないし、それがおそらくどのシーンでも同じ。ヴァイエイトとメリクリウスが互いに相互補完することを前提としている機体のせいもあるとはいえ、である。
Gチームという意味では最後の方にはさすがに協力して戦うものの、そうして考えると、『ガンダムW』という作品はどこまで行っても個人によりゲリラ戦が主体だったんだなぁ、と。それが最終的に彼らの敵であるOZやロームフェラ、あるいはホワイトファングといった組織として戦う勢力と上手く対比する意図もあったのだろう。
それにしてもリリーナの展開が今見ても良く分からんなw ノインに助けられて次に登場したらもうサンクキングダムの代表なんだからwww
ほんまヒイロさんはエージェントの鑑やでぇ……