偽物語 『かれんビー 其ノ伍』
『かれんビー 其ノ伍』
≪あらすじ≫
もはや自らの半身と呼んでも差し支えのない忍(しのぶ)となし崩し的に和解した暦。忍から聞けたのは、大きいほうの妹・火憐(かれん)がかけられている怪異は“囲い火蜂”と呼ばれるものだということだった。
小さいほうの妹・月火(つきひ)とそんな二人に協力していた級友・羽川翼(はねかわ・つばさ)それぞれから得た情報で概要を把握した暦。
どうやら火憐は中学生の間で悪意ある呪いを意図的に流行させていた貝木泥舟(かいき・でいしゅう)の存在に行きあたり、翼らの協力によって見事貝木泥舟を罠にハメて呼び出すことに成功した。火憐はその場で泥舟の目論見を止めるつもりだったが上手く言いくるめられた挙句、泥舟から“囲い火蜂”という怪異を宿されたようだった。
翼を途中まで送り届けた暦は自宅へ戻ると高熱に苦しむ火憐の介抱から始めた。火憐の口から漏れるのは、兄である暦の言っていることが正論だと認めながらも、それでも自身の正義感に嘘はつけないというものだった。そんな火憐に半ば呆れながらも暦は介抱を続ける。
その最中、暦は火憐の「兄ちゃんに移したくない」という旨の発言を聞いて、逆に火憐の怪異の毒を自身に移せないかと忍に相談する。忍が「気の進まない方法」と前置きしたその方法とは――
≪感想≫
中学生の妹の身体を拭くのって
普通に月火に頼めばよかったんじゃ(爆
挙句、妹にキスを強要するなんてwww
あぁ、暦はロリコンだからなー。うん、つまり暦はロリコンでシスコンだったわけかぁー……へ、変態だΣ(゚Д゚;≡;゚д゚) いや、暦が変態なことなんてそれこそ今更か(ぇ
◆良いね、若いって
と、思った。貝木は火憐の若さを認めながらそれが良いとは認識しなかったようだが(苦笑
あそこまで真っ直ぐ突き進めるのは、ある意味羨ましいことなのかもしれない。頑なに真っ直ぐに進めてしまうからこそ意外と折れやすかったりするものだが、火憐の真っ直ぐさと言うのは確かに暦に通じる部分が少なからずあるし、ある種の主人公属性的なものも感じてしまう。
火憐がこの先成長して何時までその真っ直ぐさを持ち続けられるのか、というのは純粋に興味がある。もちろん、この『物語』シリーズが幾ら長編で現在進行形で発行されていたとしても、そんな未来まで描かれるとは思えないけどw
ただ、ああいう真っ直ぐさって長く生きれば生きるほど失われるものだ。失われていって逆転してマイナスになったのが貝木泥舟な気がしないでもないが(笑)。
実際、フィクションの作品として客観的に観てしまうとそうなんだよね。火憐がプラスの真っ直ぐさなら、貝木はマイナスの真っ直ぐさ。どこまでも正義(ある種の公欲とでも言うべきか)を掲げて突っ走る火憐と、どこまでも私欲で金を稼ぐ貝木は進んでいるベクトルが違うだけで同じ線上にいる存在のように見える。
そして、だからこそ火憐は貝木の発言に押し負けたのだ。
討論というのはいかに自分の得意とする土俵に持ち込むかが勝負とも言われる。
普段、ファイヤーシスターズとして動く火憐は他を圧倒する、眩しいほど真っ直ぐな正義感で相手を自分の土俵に引き込んで武力介入と共に(笑)相手を修正するのだろう。まぁ、確かのあの熱意と意気込みで迫られればたいていの同世代の子は引き込まれて、気がつけば彼女の論法と武力に屈服していそうなものだ。
だが、火憐と貝木はある意味最初から同じ土俵の上に立っていた……互いに向いている方向が真逆と言うだけで。だから通用しなかったように見えた。
同じ土俵に立つ者同士。つまり、同属嫌悪。火憐があそこまで貝木を(ひたぎのソレとは別の意味で)嫌悪するのは、きっと暦が妹たちにキツく当たるのと同じなのだろう。暦が初めて逢った貝木から“凶(ふきつ)”さを感じ取ったのは、もしかしたら本能というよりもこれもまた一種の同属嫌悪だったのかもしれない。
◆でも、結局のところ
何が悪いって、14,5にもなって善悪の判断もつかず明らかな詐欺師に引っ掛かる中学生たちにあるような気がしてならない(苦笑
まぁ、これは貝木が流したという悪意ある呪いと言うものがどんなものか分からないから言えることではあるし、実際に貝木が流した“呪い”が実は巧妙にカムフラージュした偽物だったとすれば……まぁ微妙なところではあるのだけどw 所詮私たち視聴者が知る、貝木が意図的に流した呪いは撫子の蛇切縄(漢字あってる?)くらいなものだから何とも言えないのではないだろうか。
火憐は言う「人間関係めちゃくちゃにして~」と。でも、人間関係の変化を望みその果てに憎悪し恨むことを選んだのは誰だったか。例えば撫子の時は、撫子の級友や告白したという男子。それぞれは貝木に言いくるめられて強制的に呪いを使ったのかと言えばおそらくだけどそんなわけはなく、それぞれがそれぞれの思惑と私欲によって呪いを実行したのだ。
そう、結果的に人間関係がメチャクチャになったのは、それを使った者たちが新しい関係の創造や既存の関係の変化を望みながらそれが自分たちの思い通りにならないコトに対しての八つ当たりの結果でしかないわけだ。
金を払ってでも呪いを使いたいと願ったのは誰か、といえば分かりやすいか。もちろん、貝木が詐欺師で下準備に二カ月をかけたというのであれば、中学生に「安易に呪いに手を出させやすい環境」というものを意図的に作り上げているのだろうから、その点で言えば言うまでもなく貝木が一流の詐欺師らしく悪質なんだけど。
それはともかくとして、例えばとてもよく切れる包丁を造ってそれを「よく切れる包丁だ!」と売り捌いたとして、それを傷害や殺人、脅迫など犯罪の凶器として使われたとしてそれを造った人に対して「人の命を弄んで!」と文句を言い、「今すぐ造るのをやめろ!」と言うことが果たしてどこまで正しいのか、ということだ。
もちろん、これは「包丁」という日常用具を基本にした話であって、これが人を殺すための「兵器」で話をすればまた違う。この場合、貝木の“呪い”が「包丁」に当たるのか、それとも「兵器」に該当するのかによっても話は違ってしまうけどねw
ただ、どちらにせよ貝木は何かをするための“道具”を提供しているに過ぎず、“道具”の提供の代価として金銭を要求し、そのアフターサポートにも金銭を要求しているだけ。
私にはそんな風に見える。
◆そしてそんな存在は……
貝木だけではない、ということだ。
そう、羽川翼である。
彼女はある意味貝木と似ている存在だ。求められたことに対してそれに対し十二分に応えてしまう。
だが、そこに善悪の判断は無い。ただ要求されて、自分に応えられる範囲で答えてしまった結果、羽川翼は優秀すぎるが故に物事を良くも悪くも激しく助長させてしまう。
暦が妹たちに翼との関係を持たせたくなかったというのも頷ける。翼は「知っていることしか知らない」けど「知っていることは知っている」し、何よりその「知っていることが膨大」で「頭の回転も速い」から、たいていのことはやっぱり知っている。ある意味、とても便利な生きた辞書みたいな感じだ。
そう、翼は辞書だ。
辞書自体には善もなければ悪もない。ただ事実を羅列しているだけだ。私たちはそれを検索し情報を引き出し利用する。辞書から見ればそれは求められた検索に応じ、所有している情報から最も適切と思われる事実を提供するわけだ。
だから便利だけど、使い方を誤ると怖い。
そこにあるのは事実だけだから、例えば倫理観だったり一般常識だったりするものが欠けるわけだ。翼はまさしくそんな感じ。前回の感想で翼が正論を述べることについても少しふれたが、よく考えるとそれは正論と言う名の事実なのだ。そこには一般常識的な感覚だったり、事実ではないが大衆許容される倫理観だったりするものが一切含まれない。
だから羽川翼との付き合いは、その使い方を知っていなくてはいけない。
それは善悪の判断だ。倫理観や一般常識と照らし合わせてその情報をどう利用するのが最も適切かを考え判断する能力と言ってもいい。ある意味、インターネットの普及によって情報が氾濫している現代に生きる今の私たちに最も必要とされる能力でもあると言える。無数に溢れる情報の中から正しい情報を取捨選択し、その情報を糧にしてさらに一般的な常識や倫理観、それこそ善悪と照らし合わせながら使いこなさくてはいけないもので、羽川翼との付き合いとはそれと同等かそれ以上のモノが求められる。
結局のところ、暦は翼に対して怒ることをしなかったが、暦は翼に対して怒ってよかったと思ってるてことだ。暦は怒らなかったが、もし暦にとって翼が命の恩人ではなかったとしても同じことが言えたかと言えば私はそれが多分NOだと思っている。暦の中では翼に対してだいぶプラス補正が入っているのは、もうこのシリーズを視聴している人からすればわざわざ説くまでもないだろう。
話を戻すと、暦は翼に対して怒って良かったと思っている。怒るべきだった、とまでは言わないが結局翼の知識と情報で火憐の危険に巻き込まれる可能性はグッと向上し結果的に巻き込まれたわけだ。それに対して「危ないことに巻き込む危険性があってどうして年下の中学生に安易に情報を提供したのだ」と。そして翼はそれにきっとこう答えるだろう「私は聞かれたことを答えただけ」と。だって彼女は知識を有しているが、極論を言えば善悪の判断なんてとても出来てなどいないのだから。
そう、そういう常識や倫理観に、ある意味一番欠けているのが羽川翼。
そりゃあ兄としては、少なくとも妹はじめ肉親や親しい友人に積極的に付き合って欲しいと思える人ではないな、と改めて思った(苦笑
(2012/02/05 追記)
どうやらネット上(公式HP?)で次回予告が配信されているらしく、5話の次回予告で翼が辞書ネタで喋っていたらしいw 全然知らなかったから「ええええ!?」って気分だった(笑 放送終わってから延々一時間ぐらいかけてない頭絞ってこの記事書いてたのにw
拍手コメで教えて下さった方(改めて別記事でコメレスしますが)ありがとうございましたm(_ _)m
≪TB先 参照リンク(URLアルファベット順)≫
赤字はTBが現在弾かれてしまっているBlog様です。
現在、nifty系、so-net系はほぼ全滅。livedoorは調子がいいと送れます。
・http://akihiroblog555.blog.fc2.com/blog-entry-179.html
・http://amakuni186.blog136.fc2.com/blog-entry-192.html
・http://ameblo.jp/adam/entry-11156639365.html
・http://ameblo.jp/azeaniblog/entry-11155672251.html
・http://ameblo.jp/brook0316/entry-11152402362.html
・http://ameblo.jp/gintoki-sakata-vol2/entry-11155796728.html
・http://ameotokops.blog.fc2.com/blog-entry-190.html
・http://animetureduregusa.blog65.fc2.com/blog-entry-1546.html
・http://ariaprincipe.blog46.fc2.com/blog-entry-1141.html
・http://arpus.blog121.fc2.com/blog-entry-1918.html
・http://bbog920.blog.fc2.com/blog-entry-239.html
・http://blog.goo.ne.jp/jin-d/e/7dafe15bb6b936473414
f1e3b36f532f
・http://blog.goo.ne.jp/mio793/e/dd9059101d75c5cf53e
4796d0aa44f00
・http://blog.goo.ne.jp/sakino-k/e/377f4e8ac3d266e8d
33b11aff4bcdcaf
・http://blog.livedoor.jp/electro_railgun/archives/51866121.html
・http://blog.livedoor.jp/hibino_fumi/archives/51329829.html
・http://blog.livedoor.jp/rin20064/archives/52248775.html
・http://blog.livedoor.jp/voler/archives/52924871.html
・http://blog.livedoor.jp/soul_mu/archives/65646588.html
・http://blog.livedoor.jp/sumi4460/archives/67296244.html
・http://blog.livedoor.jp/t_cherry398/archives/51646418.html
・http://blogreblog.at.webry.info/201202/article_5.html
・http://blogs.yahoo.co.jp/japantraveler88/8413644.html
・http://bluebluesilvermoon.blog38.fc2.com/blog-entry-3739.html
・http://boricacid.blog79.fc2.com/blog-entry-394.html
・http://brilliantcorners.blog54.fc2.com/blog-entry-369.html
・http://civer.blog122.fc2.com/blog-entry-4358.html
・http://coffeemonster.at.webry.info/201202/article_4.html
・http://crystalcage1102.blog.fc2.com/blog-entry-765.html
・http://diconoir.blog94.fc2.com/blog-entry-334.html
・http://dokuatari.blog137.fc2.com/blog-entry-578.html
・http://e102128.blog54.fc2.com/blog-entry-1904.html
・http://fanblogs.jp/gyobayashi/archive/2619/0
・http://fllayg.com/index.php?e=2216
・http://gomarz.blog.so-net.ne.jp/2012-02-05-1
・http://hienkyaku.blog50.fc2.com/blog-entry-2522.html
・http://hyumablog.blog70.fc2.com/blog-entry-2745.html
・http://innamiblog.blog28.fc2.com/blog-entry-574.html
・http://kagura77.blog99.fc2.com/blog-entry-3174.html
・http://kakioki60.blog129.fc2.com/blog-entry-1159.html
・http://kate555.blog59.fc2.com/blog-entry-1703.html
・http://kenohito.blog67.fc2.com/blog-entry-1484.html
・http://keycafe.blog27.fc2.com/blog-entry-1512.html
・http://kiokuno2.blog31.fc2.com/blog-entry-1624.html
・http://kira47.blog58.fc2.com/blog-entry-1439.html
・http://kodoku21.blog83.fc2.com/blog-entry-2063.html
・http://kouyanoblog.blog61.fc2.com/blog-entry-4346.html
・http://lvr839.blog39.fc2.com/blog-entry-241.html
・http://maguni.com/index.php/view/1574
・http://manaduru3.blog24.fc2.com/blog-entry-925.html
・http://marixanzu.blog60.fc2.com/blog-entry-148.html
・http://merkmals.blog31.fc2.com/blog-entry-1828.html
・http://mikihara.blog70.fc2.com/blog-entry-2870.html
・http://najigo.blog31.fc2.com/blog-entry-699.html
・http://nanabachimemory.blog.fc2.com/blog-entry-319.html
・http://nanohana0103.blog.fc2.com/blog-entry-233.html
・http://nextsociety.blog102.fc2.com/blog-entry-1779.html
・http://nikkananilog.blog.fc2.com/blog-entry-358.html
・http://picoro106.blog39.fc2.com/blog-entry-5601.html
・http://pokeseed.exblog.jp/17325683
・http://reilove.blog51.fc2.com/blog-entry-5600.html
・http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/
2012/02/-05-48.html
・http://rollingstar77.blog103.fc2.com/blog-entry-856.html
・http://sagaturedure.blog31.fc2.com/blog-entry-5316.html
・http://scriptor.blog54.fc2.com/blog-entry-1493.html
・http://seeing04.blog39.fc2.com/blog-entry-2837.html
・http://seraraku2.blog59.fc2.com/blog-entry-6457.html
・http://setumizu.blog136.fc2.com/blog-entry-429.html
・http://shino134.blog22.fc2.com/blog-entry-2902.html
・http://shinsakuranikki.blog90.fc2.com/blog-entry-4631.html
・http://shirokuro585.blog109.fc2.com/blog-entry-940.html
・http://shittakaanime.blog86.fc2.com/blog-entry-580.html
・http://sigerublog.blog137.fc2.com/blog-entry-763.html
・http://soraxcan.blog59.fc2.com/blog-entry-3153.html
・http://spadea.jugem.jp/?eid=14603
・http://subcul.jugem.jp/?eid=2382
・http://timediver2010.blog27.fc2.com/blog-entry-2583.html
・http://tiwaha.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/tokyomx20405
-74.html
・http://tokkurin.blog109.fc2.com/blog-entry-4864.html
・http://ttyuasa.blog69.fc2.com/blog-entry-320.html
・http://unmake.blog133.fc2.com/blog-entry-120.html
・http://waitingfrofresong.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
・http://wendykai.blog60.fc2.com/blog-entry-1682.html
・http://zspecium.blog.fc2.com/blog-entry-218.html
もしよろしければ、拍手ボタンをポチッと押して下さいm(_ _)m 管理人のモチベーションが上がります(ぉ
Web拍手に頂いたコメントは後日『Web拍手レス』にてお返事させていただきます。
NoTitle
羽川論、とても興味深く読まさせていただきました。
というのも、今回彼女が火憐達を危険な目に合わせた事についてあまり罪悪感を抱いてる描写がないのが気になっていたからなんですね。表に出さないだけかもとは思いましたが、阿良々木に対する態度も儀礼的なものに見えましたし、もやもやしていました。
善悪の判断の欠如ですか。なるほど、「知ってることだけ知っている」というのはそういう意味なんですね。納得しました。
阿良々木が本来なら怒っていいというのはその通りだと私も思いますが、前回で「僕や火憐ちゃんや月火ちゃんが、自分の弱さを受け止めなければならないように__お前は、自分の強さを受け止めなければならない」と一応言及してるんですよね。妹達への強い語調と比べたら大分緩い感じですが(笑)
羽川さんが命の恩人というのは傷物語での話になるのでしょうか? 原作はさっぱりなので、劇場版を楽しみにしています。
長文乱文失礼いたしました。