Steins;Gate 第20話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[Steins;Gate]
『怨嗟断絶のアポトーシス』
≪あらすじ≫
桐生萌郁から回収されたIBN5100の隠し場所を教えてもらった倫太郎。すぐさまこじ開けて回収しようとするが、紅莉栖から「世界線を元に戻さないとIBN5100は入手出来ないのでは」と諭され思い留まり、萌郁の送ったDメールを打ち消すDメールを送るため、IBN5100をエサに謎のFBという人物に迫る。
運び出されたIBN5100。それが運び込まれた先は、倫太郎が良く知る人物の家だった。
その家から空港へ移送され、フランス行きの飛行機に乗せられたIBN5100。それを見届けた倫太郎は、FBの正体を知りたい萌郁と事情を知った紅莉栖と共に、その人物の家を訪れる。それは倫太郎たちが間借りしているラボの大家であるミスターブラウンこと天王寺裕吾の家だった――
≪感想≫
◆ミスターブラウンと天王寺裕吾とFB
全体的に答え合わせみたいな回だった。まぁ、この手の作品は折り返しを過ぎた時点で答え合わせが始まり、クライマックスに近づくにつれて推察や考察することが減り、その真相が明らかになっていくわけだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
ミスターブラウンがFB。倫太郎のラボにSERNとの直通回線が引かれていた世界線があったはずだが、直下にSERNの手先がいるのだから、それも当たり前のことだったのだろう。FBの略称はブラウン管を開発した人の名前のようだ。つまり倫太郎がつけた「ブラウン」の名は、彼からすれば自分のコードネームに対して近からず遠からずといったところだったわけだ。さすがと言うべきかwww
FBとしてのミスターブラウンが、萌郁に対して行っていた一連の行動に対しては私が前回予想した通りだったので割愛。ただ、彼がFBということは、彼は見知った顔で綯が懐いていたまゆりを殺す命令を彼が出したということである、という点は失念していたかもしれない。
だが彼にはFBとしてではなく天王寺裕吾としての顔とミスターブラウンとしての顔がある。私たちが良く知るのはミスターブラウンとしての彼の顔だ。倫太郎のラボが置かれている部屋の大家で、実験を繰り返しては迷惑をかけられ、脅すように家賃値上げと腕力で倫太郎たちに迫る鬼大家。それがミスターブラウンだ。
そして、彼には愛娘・綯や恩人・鈴(鈴羽)の前でだけ天王寺裕吾としての顔がある。人を愛し、恩を返し返される。そんな人としての当たり前の、一人の人間としての彼。愛娘の綯にだけは、と感じ自害した彼の想いとはどれだけのものだったのか。おそらく鈴羽に拾われるまで天涯孤独で生きてきた彼が、自分の愛した娘を一人残して旅立つのは、どれだけの皮肉なのだろうか。
綯を連れてSERNから逃げる道もあっただろうが、彼は選べなかった。せめて綯がもう少し大きければ、綯と話し合って道を選ぶことも出来たのかもしれないが、あの年の女の子に「死ぬかもしれないがお父さんと一緒に逃げるか」「お父さんと離れ離れになるけど安全に生きていくか」との選択を迫るのは、あまりに酷だ。天王寺裕吾も、そう判断したに違いない。
彼もまた、彼が萌郁を手玉に取ったような形でSERNに手玉に取られた被害者。手に取った糸は蜘蛛の糸で、その糸に絡め取られ続ける。彼の任務はIBN5100の入手か、あるいは日本での活動を任される支部長のような存在でIBN5100の入手はその一環に過ぎないのか。どちらにせよ、彼もまた「失敗した」として自分が消される未来を感じていたようだ。
おそらくだが、他にも似たような立場の人物が数人いて相互監視しているのではないだろうか。相互監視することで裏切りを防ぎつつ、相手が裏切れば密告され抹消される。彼は萌郁に裏切られ、倫太郎たちに真相を語るところを見らるのを覚悟していたに違いない(そうでないと彼が自害する意味を見出しづらい)。そうしてでも、綯を喧騒に巻き込みたくなかったはずだから。
しかしあの世界線で綯はどう生きていくのだろうか? 倫太郎と共に世界線を移動している私たちは思わず忘れてしまうが、父親が自殺した世界も一つの世界線として存在し綯はその世界線を生きていかないといけない。倫太郎たちに引き取られることになったのか、あるいは孤児院に預けられることになったのか、父親のいない寂しさに耐え切れずそういう道を選らんでしまうのか。綯が父親の帰りを待ちながら、父親の分の食事の支度をする彼女の姿を見ると、そんなことを思わずにはいられない。
後は、鈴羽が真相を知ったらどう思うのだろうか、とも考える。自分をアルバイトとして雇ってくれた恩人は、実は未来の自分が過去に遡って面倒を見る人物だけど、その人物が実は自分の最大の敵であるSERNの手先で、β世界線へ行くことを最も阻害していた人物の一人だと解ったなら……。
最後に想うのは、萌郁のDメールを打ち消したことで世界線が戻ったあと、彼らは幸せなのだろうかということ。IBN5100は萌郁の手にも裕吾の手にもSERNの手にも渡らず倫太郎たちの手元にある。そうなったことで萌郁はFBから捨てられず、FBである裕吾も萌郁を捨てず、綯と共に表面上の幸せを享受し続ける。
それで彼らは救われたのだろうか?
鈴羽も、フェイリスも、るかも、元の世界線に戻ったことで喪われるものがあると同時に得られるものもあり、一定の救いがあったように感じるが、この二人に関してはそれがあまり感じることが出来ない。もちろんまゆり同様死ぬ定めにあった萌郁にすれば、世界線が変わったことで生き残れるかもしれないのだから救われたように見えるが、それは彼女が望む“救い”ではないからなぁ、と思ってしまう。彼女はそこまで生きることに執着してはいない。彼女が執着しているのは「自分を必要としてくれること(人)」だから(だからこそ、萌郁は張り込みをする倫太郎と共にあったのだと思う。FBとは別の形で自分を“見て”くれた倫太郎だったから……)。
それでも、もしIBN5100が見つかるまで幸せが続くのであれば、そんなものが見つからない世界の方が萌郁にとっても裕吾にとっても良いと感じているのかもしれない。そうでなければ、裕吾はその気になればIBN5100を簡単に手に入れられるはずなのだ。なにせ直上の部屋に置いてあるのだから。あのラボのこと、おそらく情報なんてダダ漏れに違いなくて、裕吾たちだってその存在を知っているに違いない。それでも今までの世界線で裕吾が直接IBN5100を奪いにこなかったのは、そういうことなんじゃないかなって。
そんな複雑にいろいろなことを考えさせられる話だった。
◆伏線を少し列挙してみる
1)世界線数値+タイムリープ考察
・ 1話のメール送信後 ⇒「0.571024」
・ 7話のロト6実験後 ⇒「0.571015」
・ 8話の萌郁実験後 ⇒「0.523299」
・ 8話のるか実験後 ⇒「0.456903」
・ 9話のフェイリス実験後 ⇒「0.409420」
・ 10話の鈴羽を呼び止め時 ⇒「0.337187」
・ 16話の世界線移動時 ⇒「0.409401」(誤植?)
・ 16話のメーター数値 ⇒「0.409031」(誤植?)
・ 17話の世界線変動時 ⇒「0.456914」
・ 18話の世界線変動時 ⇒「0.523307」
・New 今回の世界線変動時 ⇒「0.571046」
世界線はいよいよロト6実験後にまで戻ってきた。ロト6実験は倫太郎が自分の携帯でやったことなわけだから、これを否定するのは簡単だろう。だからこそ、問題はそれよりさらに前――つまり「牧瀬紅莉栖が死んだ」とダルに送ったDメール。
そのメールを送ったことで世界線は変動し、死ぬはずだった紅莉栖は生存しラボメンになった。そのメールを否定しないといけないということは、つまり紅莉栖が生存している今の世界線を放棄し彼女が死亡する世界線を選ばないといけないということ。
牧瀬紅莉栖か、椎名まゆりか
倫太郎は究極の選択を迫られた。自分を理解し何度もアドバイスをくれ自分を支えてくれた牧瀬紅莉栖か、命の危険を冒してでも何度もタイムリープしてまで命を救おうとした椎名まゆりか。この二人のうち、一人を犠牲にしなければならないのだ。
「選ばない」ことは赦されない。選ばないということはまゆりが死ぬということであり紅莉栖が生き残るということなのだから、それは「選ばない」という名の選択を「選んだ」ということになってしまう。タイムリープも無意味。
世界線を越えるには、まゆりが生きるためには、紅莉栖が死ぬ未来を選ぶ――紅莉栖を実質殺さないといけない。
今まで、倫太郎は鈴羽、フェイリス、るか、萌郁とそれぞれが叶えたい願いが叶った世界線を打ち壊し、犠牲にしてもとに戻ってきた。時にまゆり以外のラボメンの死すら経験して、泣かせて、罵倒して、殴って……どんな手段を使ってでも、と。そうして最後のハードルが、以前から予想していた通り紅莉栖との選択。
まゆりを救うために紅莉栖を殺すのか、紅莉栖を殺せずにまゆりを見殺しにするのか。
次回は大きなターニングポイントになりそうである。
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ここに来るまでに岡部はまゆりを救う以外にも沢山の責任を背負うようになりました
α世界線に留まれば、多少過程に違いはあってもSERNが世界を支配するディストピアとなるのは決まっています
SERNに利用され続けた紅莉栖も、レジスタンスとなった岡部とダルも、15年後には生きてないと知っています
萌郁やミスターブラウン、綯もSERNが支配する世界では始末されるか、生きていても悲惨な状況のはず
全て知っていて、その上で紅莉栖を選ぶ事は無理だと最初から岡部も承知している
どちらかだけというなら、まゆりを選ぶ以外に今の岡部は出来ません
苦悩し、藻掻いた末に二人共助ける方法を見出せるかどうかになってくる気がします